新2学科、分析力と実践力が特色
コース選択は2年次以降

経済学部 学科再編

 経済学部の2年後の学科再編は、中長期戦略「Chuo Vision 2025」の一環。学科再編により経済学部の魅力を高め、大学全体のブランド力向上につなげることも目的。新設される2学科の特徴・概要は以下の通りである(学員時報取材。設置構想中のため学科名は仮称、掲載内容は変更となる場合がある)。

現4学科を新たに再編成

 現在の経済学部は経済学科、経済情報システム学科(旧・産業経済学科)、国際経済学科、公共・環境経済学科(旧・公共経済学科)の4学科。設置構想ではこれを経済学科と社会経済学科の2学科とするものだが、現在の経済学科を残し、他の3学科を統合するものではない。新しい2学科は単なる統合や継続ではなく、新しい教育プログラムとして設計される。
 新設される経済学科は、ミクロ・マクロ経済学の理論を深く学び、企業・国際・環境など広範な問題に理論とデータを駆使して対応する「分析力」を育成する。コース構成は経済政策コースと国際経済コースを予定しており、前者には政策分析、企業・産業分析、地域分析、後者には貿易・国際金融、国際開発、環境と、それぞれ3つのプログラムが想定されている。

学科再編紹介リーフレット。
学科再編の詳細は特設サイトで
https://economics.v.chuo-u.ac.jp/

 一方、社会経済学科では、ミクロ・マクロ経済学の基礎に加え、マルクス経済学や制度、歴史、経営、会計や統計など多角的学修を行う。貧困、地域格差、ジェンダーなど社会課題に挑む「実践力」を養成する方針だ。コース構成は社会経済コースと地域・マネジメントコースを予定しており、前者には政治経済学、社会政策、社会経済史、後者には経営会計、統計・データサイエンス、地域創生と、こちらもそれぞれ3つのプログラムが想定されている。

「専門性」「先端性」「コース選択」

 学科再編後に目指す経済学部の教育の特徴として、「専門性」「先端性」「コース選択」の3つのポイントが挙げられている。
 第1に専門性の強化。学問体系に沿った段階的・系統的なカリキュラムを整え、各学科が目指す専門知識を備えた人材を育成する。学生が自分の力を社会に還元する視点を持ち、社会的福祉に寄与できる人材の養成を目指す。
 第2に最先端教育の実施。絶えず変化・多様化する社会のニーズに対応できる力を身に付けるカリキュラムを実施する。経済学科では「リアル×デジタル」による世界標準の学び、社会経済学科では多様な立場を理解する「フィールドワーク」が特色である。
 第3にコース選択システム。1年次は自分の関心のある領域を見定め、2年次でコース選択をすることで、学生がなりたい自分により近づくことができる仕組みとする。
 大学は7月11 日に再編に関する特設サイトを公開(「中大経済のシンカが未来を動かす」。順次更新)、学科再編の内容をまとめた紹介リーフレット(PDF)も公開している。

経済学は学びの入口として最適
オープンキャンパスで高校生らに新学科を紹介

 8月6日(水)、7日(木)に多摩キャンパスで開催された「2025年度オープンキャンパス」では、「高1・高2生向け新学科ガイダンス」が開催され、来場した高校生や父母らに向けて設置構想中の新学科の概要について説明が行われた。

 8月6日のガイダンスを担当した経済学部広報担当の岡本千草助教は、学科再編の目的と背景について「現代社会は、国際紛争・格差・環境問題・異常気象など、複雑で多様な課題が絡み合う時代。これらに対応するために、中央大学経済学部では、順序立てて基礎から積み上げる系統履修に基づく確かな力の養成を掲げ、専門教育の深化と進化を目指して学科再編を実施する」と伝え、キーワードの「シンカ(深化・進化・真価)」は、「ただ学ぶだけでなく、学んだ力を社会で発揮できる人材の育成が目的」だと説明した。

高1・高2生向け新学科ガイダンスを行う岡本千草助教

 また卒業後の進路について、「経済学の知識は就職先に関わらず役に立ち、特に公務員就職の実績も高い」と述べるとともに、「将来の進路が明確でなくても、『社会や経済への関心』『人間の行動への興味』があれば、学びの入口として最適」と高校生らに呼びかけた。

新たな学科のコース・プログラム(仮称、設置構想中)

■ 経済学科
 …分析力(理論とデータ)を重視

経済政策コース
  政策分析プログラム
  企業・産業分析プログラム
  地域分析プログラム
国際経済コース
  貿易・国際金融プログラム
  国際開発プログラム
  環境プログラム
■ 社会経済学科
 …実践力(多様な視点とアプローチ)を重視

社会経済コース
  政治経済学プログラム
  社会政策プログラム
  社会経済史プログラム
地域・マネジメントコース
  経営会計プログラム
  統計・データサイエンスプログラム
  地域創生プログラム

参考・現在の学科内容
■ 経済学科
基礎マクロ・ミクロ、統計学などを基礎に、
財政学・金融論・計量経済学・租税論・
産業組織論・環境経済学・社会保障論な
ど多彩なクラスター科目を用意
■ 経済情報システム学科
統計・ICT スキル・簿記・財務会計・管理
会計・監査・税務・情報科学・データ分析
など、IT・会計・統計の融合科目を展開
■ 国際経済学科
国際金融・開発論・地域経済統合・多国
籍企業論・国際公共政策など、国際経済
にフォーカスしたクラスター科目を充実
■ 公共・環境経済学科
公共経済学・政策・行政学に加え、環境
政策・倫理・リスク・会計・社会保障・地
域ガバナンスなど広範な社会政策・環境
問題領域を網羅

やっぱり経済学はおもしろい!
高校の勉強ってどう役立つの?

中央大学経済学部 編

 高校で学ぶ各教科と大学の経済学のつながりを、SNS やコロナなど身近なテーマを通じて紹介。高校教員と大学教員32名が共著で、「高校の勉強はこう役立つ」と語りかける、わかりやすい経済学入門書。

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