評議員の権限・責任を明確化

私立学校法の改正に対応

 令和5(2023)年5月に公布された改正私立学校法と、それに基づく中央大学の寄附行為の変更により、本学の評議員会は大きく機能が強化されることとなった。
 今回の改革では、理事と評議員の兼職を禁止し、執行と監督の役割を明確に分離。評議員会には監事・会計監査人の選任や理事の解任請求といった新たな権限が付与された。新たな体制がスタートするにあたり、中島康予常任理事からメッセージをいただいた。

建設的な協働と相互牽制によって
中央大学のさらなる発展を

 5月31日、50名の新しい評議員が就任されました。本年4月1日に施行された改正私立学校法、また、昨年、変更された本学の寄附行為(基本規定)や下位規則などに基づいて選任された方々です。
 みなさま御存知のように、今般の私学法改正と基本規定変更のポイントは、執行と監視・監督の役割を明確にして、この2つを分離し、理事・理事会、監事、評議員・評議員会の権限を分配し直したところにあります。役割の分離を端的に示しているのが、理事と評議員の兼職禁止です。
 重要なのは、このガバナンス改革は手段であって目的ではないことです。目的は、学校法人中央大学の一層の発展にあります。また、監視・監督が強調されると見落としがちなのが、「建設的な協働」の確立という側面です。権力(パワー)や資源(リソース)については、一方の取り分が増えれば他方の取り分が減ってしまう、奪い合うものという考え方と、パワーやリソースの総量を増やしていく、いわば掛け算的にとらえる考え方があります。この2つめの考え方に立てば、建設的な協働は、力や資源を増やして組織の発展を強力に推し進めることを可能にしてくれるでしょう。

学校法人 中央大学
常任理事(総務担当)
中島 康予 氏

 評議員会については、監事の選任・解任(基本規定23条、28条、62条)、必置となった会計監査人の選任・解任(基本規定62条、69条、70条)、理事の不正行為等の差止めを監事に求めたり、理事選任機関に対して理事の解任を求めたりすること(基本規定64条)など、その機能が強化されました。さらに、評議員に求められる識見が法定されるとともに、評議員としての任務を怠ったことにより学校法人に生じさせた損害を賠償する責任を負う(基本規定76条)など、評議員の法的責任が新たに導入されたこともふまえ、評議員の総数を50人としました。学員会から推薦された評議員のみなさま、そして評議員会には、上に挙げたような権限に基づき、理事会に対する監視・監督にあたっていただくことはもとより、建設的に協力し、時には議論しあい、納得感をもって、全体として充実した学校法人経営を実現するためにご尽力いただきたいと願っております。
 本学は、2035年に創立150周年を迎えます。「Chuo Vision 2025」の最終年にあたる今年は、その総括をふまえ、次期中長期事業計画(仮称「Chuo Vision 2035」)を確定していくことになります。総合学園・総合大学として本学が培ってきた伝統・価値をさらに高め、次世代に継承していく、そのあり方を左右すると言っても過言ではない大事なスタートの年に就任された新評議員のみなさま、そして学員のみなさまや多様なステークホルダーとの連携・協働を図っていきたいと考えております。今後とも、なお一層のご協力・ご支援を賜れば幸いです。

寄附行為

 学校法人や公益法人の「基本ルール」を定めた文書。設立目的、役員の選び方、会計の仕組みなどが書かれており、法人の運営の土台になる。もともとは設立時に財産を寄附する人が定めたことに由来する。

評議員会

 学校法人や公益法人などで、理事会を監督し、重要な方針や役員人事に関わる機関。複数の評議員で構成され、外部の有識者などが加わることで、法人運営の透明性や公正さを保つ役割がある。

私立学校法

 私立大学や私立高校などを運営する学校法人について、その設立・運営・監督などのルールを定めた法律。ガバナンスの強化や会計の透明性を確保するため、理事会や評議員会の仕組みなどが細かく規定されている。

私立学校法改正

 令和5(2023)年5月に公布、令和7(2025)年4月に施行された法改正。私立大学などを運営する学校法人のガバナンスを強化するため、理事会と評議員会の役割分担やけん制機能を見直した。具体的には、評議員会に理事選任への関与権や解任請求権を与えるとともに、評議員の構成に制限(兼職禁止・割合規制など)を設けた。これにより、法人運営の透明性と公正性を高め、社会からの信頼確保を目指している。

学員から選任された評議員30名
(基本規定第41条4による)

坂巻 國男(昭41法)
鈴木 康二(昭42商)
松木 茂夫(昭44商)
神﨑 茂治(昭44法)
野口 曻兵(昭47法)
若江 健雄(昭47法)
佐藤 愛子(昭48文)
遠藤 利明(昭48法)
林 勘市(昭48法)
成田 清治(昭49法)

二宮 雅也(昭49法)
根岸 清一(昭50経)
清野 強(昭50経)
横井 弘明(昭51法)
小酒 修(昭51理)
柴田 一宏(昭51法)
岩田 英志(昭51文)
石田 茂(昭53法)
村下 憲司(昭54法)
松村 安之(昭54法)

藤野 美都子(昭54法)
芳井 敬一(昭56文)
梶田 恵美子(昭59商)
若島 健二(昭59文)
矢部 耕三(昭60法)
松川 桂子(昭62法)
畑 克海(昭63法)
曽根 純恵(平12経)
中村 真衣(平14法)
吉村 美紀(平21法)

法人人事

 私学法改正に伴い一定規模以上の学校法人に選任が義務付けられた常勤監事には、黒田克司氏(昭45商)が就任した。また、監事として新たに眞島和已氏(昭55法)が加わった。

常勤監事
黒田 克司(くろだ・かつし)

 昭和45(1970)年3月、中央大学商学部卒業。平成19(2007)年7月、日本公認会計士協会副会長。平成23(2011)年7月、生命保険契約者保護機構監事(現職)。平成27(2015)年12月、一般社団法人Baker Tilly Japan理事長(現職)。平成29(2017)年7月、学校法人中央大学監事(現職)。令和7(2025)年5月に常勤監事に就任。

監事
眞島 和已(まじま・かずき)

 昭和55(1980)年3月、中央大学法学部卒業。同年4月、学校法人中央大学入職。平成29(2017)年4月、学校法人中央大学事務局長、学校法人中央大学理事。同年7月、同総務部長。平成31(2019)年4月、学校法人実践女子学園常務理事(現職)。令和3(2021)年5月、学校法人中央大学選任評議員、令和7(2025)年5月に、学校法人中央大学監事に就任。

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