2024年卒の大卒求人倍率は1.71倍で、コロナ禍前の水準に戻りました。企業の採用意欲は堅調に推移し、全般的には学生優位な状況となりました。しかし、5,000人以上企業の求人倍率は0.41倍であり、大手企業については求人総数を就職希望者総数が大きく上回る状況で、すべての学生が当初の希望通りに内定を得ることはできない状況です。
また、人材獲得競争が一層激化することで、採用選考・内定出しの開始時期は前倒しになるなど、就職活動はさらに早期化し、採用解禁時期である6月までの内々定率は前年を上回って推移しました。
学生の就職活動動向調査では、コロナ禍が落ち着いてもなお、「安定性」を企業選択の主軸とする割合は増加し、中でも勤務地や福利厚生への関心の高さが見られ、仕事だけではなく人生全体を捉える様子がうかがえました。
文系学部
金融業界の人気再燃、旅行・航空業界の復調
文系学部の学生の進路は「就職者」が最も多く、毎年8割を超えています。文系学部の就職先を業種で分類すると、「通信・情報サービス」15.0%の割合が最多で、次いで「金融・保険」13.9%、「公務」11.2%、「卸・小売」10.1%と続きます。「金融・保険」業界から「通信・情報サービス」業界へ首座が逆転した2020年度卒業生以降、「通信・情報サービス」との差が広がりつつあった「金融・保険」でしたが、2023年度卒業生においては「通信・情報サービス」の割合が減り「金融・保険」の割合が増えたことで、「通信・情報サービス」との差が縮まった結果となりました。
また、就職先上位企業からも、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングスの就職者数が大きく増えたことがわかり、かつて就職先の上位を占めていた金融業界における新卒採用の募集拡大が影響した結果とみられます。
「公務」においては、国家一般職の就職者数92人(前年度比26人増)と前年度から大きく増え、人気の高い都道府県庁・特別区への就職者数も好調に推移し、公務員への就職者数は安定しています。
そして、コロナ禍からの需要回復により、新卒採用の再開・採用応募者数の増加で、かねてから人気の高かった旅行業界・航空業界への就職者数が増加したことも、今年度の特筆すべき特徴といえます。
理工学部
国家総合職試験合格者数、過去最高
理工学部の就職先を業種で分類すると、「通信・情報サービス」が最も多く全体の32.5%(前年度比4.9ポイント減)、次いで「メーカー」19.5%(前年度比0.7ポイント増)の順番であり、この2業種で就職者の過半数を占めます。
これは技術職(SE職含む)として就職するケースの多い理工学部ならではの特徴で、就職者全体の74.9%(前年度77.6%)が技術職として就職しました。SEのみならず、各業界の研究・開発・製造系技術者として、世界のものづくりを支える人材となっているのが、理工学生の特徴です。
また、理工学部でも公務員や教員への就職を希望する学生が多く、特に2023年度実施の国家総合職試験合格者数は31名と過去最高となり、過年度に合格した学生講師による公務員講座受講生の中から多くの合格者を輩出しています。
今春の就職活動においても、多くの学員の皆さまに支えられ、社会に将来有望な卒業生を輩出することができました。
キャリアセンターでは、学生生活を通じて自らのキャリアデザインを描ける機会の創出を目指し取り組んでおり、学生一人ひとりの満足度が高まる支援を心がけています。そして、その実現には学員の皆さまのお力添えが不可欠です。引き続き、皆さまのご支援ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。