ITと法を横断的に学ぶ
国際情報学部・研究科(大学院)の魅力

中央大学の特色ある教育・研究のいま

 建学の精神「實地應用ノ素ヲ養フ」とユニバーシティ・メッセージ「行動する知性。」のもと、社会の課題解決と新しい価値創出に取り組んできた本学。高等教育を取り巻く変化に応じて、いま展開されている特色ある教育・研究に焦点をあてる。

 2019(平成31)年に誕生した国際情報学部(iTL)、そして2023(令和5)年に設立された大学院国際情報研究科は、ITと法を融合し、横断的に学べる教育を提供する先進的な学びの場である。研究科委員長の小向(こむかい)太郎教授と、修士課程1年でデジタル庁勤務の小和田(こわだ)香さんに、学びの魅力を聞いた。

技術と法律、
両方を意識した研究の場

 国際情報学部と大学院の特色について小向教授は「技術の分野も法律の分野も、両方に目配りをして研究する場は他にはあまりない」と説明する。「例えば個人情報保護は、コンピューターが使われるから出てきた考え方で、データをどう処理し、どう転送し、どう蓄積し、どう処理するか、そういうことも踏まえて研究しなければいけないため、法律だけでなく技術的な知識も必要になる」と語る。AIについてはさら
に顕著で、「仕組みが分からないで議論しても全く意味がないので、法律や制度を勉強するときに、基本的な仕組みを理解しなければいけない」と語る。
 修士論文などの執筆のため、法律を研究する人についても、「サブの先生には情報学(情報技術)分野の先生にも入ってもらうし、情報学の研究をする人なら法律の教員が入る」という、技術と法の両面からを意識しながら研究を進める仕組みだ。

実務経験を持ち込む
社会人学生

 院生の半数を占める社会人学生の特徴について小向教授は「問題意識がしっかりしている人が多い」と話す。「実務でこういう疑問点や問題意識を持ったから勉強したいと思う人が来る。だから熱心で、実務的な問題意識を議論の中で示してもらえることも多く、我々研究者としても勉強になることが多い」という。

小向太郎教授

 在学生は放送局、コンサルティング、教育委員会、マスコミ、金融機関、広告会社、製薬会社など、多様な業界から課題意識を持って集まっている。また研究テーマもAI 利用と著作権、個人情報やプライバシー、サイバーセキュリティ、情報技術による社会課題の解決など多様。自動運転における責任の所在やAI 兵器の法的規範といった、具体的に深堀したテーマを研究し論文に仕上げているという。

情報法分野は動きが速い
体系的な学びも必要

 修士課程1年の小和田さんは、新卒後にシンクタンクのシステムエンジニアや外資系コンサルティング会社でITコンサルタントを経て、大手通信会社で個人情報部門の立ち上げに携わった経験を持つ。「手探りで5 年間やってきたが、個人情報・プライバシーの分野は、法律の表面上の理解だけでは実務判断に自信が持てないような内容もあった。また、情報法の分野は動きが速く、AI等ITの進化や、日本以外の国の動向や世論の温度感など環境の変化に影響を受ける。どのように政策や法令が変わろうとしているか、変えるべきか、そういったことを総合的に踏まえながら判断しなければいけない難しさを感じていた」。そして体系的に学ぶには「実務の背景があり、政策にも近い先生がいるところで学ぶのが一番良い」と本学を選択したという。進学が決まってからデジタル庁のプライバシーデザイナーに転職し、大学院では「個人情報保護法の委託規律」をテーマに研究をしている。「授業や論文執筆を通じて、専門家と同じ用語で議論できるようになり、文献調査や文章作成の力も高まった」と成果を実感している。

夜間・土曜・オンラインで
仕事との両立を実現

 仕事との両立について小和田さんは「平日は週4日、夜仕事が終わった後、18時50分から20時30分までの選択科目1コマ、土曜日はゼミと必修科目の3コマという形」と説明する。

小和田香さん

 リモートワークが可能な職場環境もあり、「出社するのは週に1、2回ほど。キャンパスは勤務先からも近く、両立しやすい環境」だという。「平日はハイブリッドの授業になっており、来てもいいし、仕事などで来られないときはオンラインでも受けられる」(小向教授)体制が整っている。

 また、「22時まで利用できる図書館の活用も大きなメリット」(小和田さん)で、中央大学全体のデータベースを使えるため、街にある公設の図書館ではアクセスできない専門的な資料や法律系の専門誌や有料サービスを無料で利用できる。

何もしないことはリスク
学び続ける時代への対応

 社会人になっても学び続ける必要性、その背景について小和田さんは「この2〜3年生成AIの普及で体感したように、社会はあっという間に変わり、人間に求められる知識やスキルは変化・陳腐化する」と指摘。「知識やスキルも時間の経過によって価値がなくなるので、何もしないことはリスクになる時代」とも。「私の場合、昔は続かなかった資格の勉強も、スマホアプリや動画通信講座を使ったら資格が取れたりし
て、大人になっても学び方を変えればできるんだと実感できた。やりたい、やりたかったと思っていることがあれば、スキマ時間でもチャレンジしやすい環境が今は整ってきている」と語る。
 小向教授は「学ぶことで可能性が広がることは大きいと思う」と語り、「自分が勉強してみたい、研究してみたいということが思いつく、もしくはなかなか具体化できなくても、関心を持っていることがあるのであれば、まずそのテーマにマッチしそうな先生にコンタクトしてみるのがいいのではないか」とアドバイスしている。
 国際情報研究科には、多様な社会人が集い、それぞれの実務経験を持ち寄って新しい学びを築いている。学員にも広く開かれた学びの場であり、「学び直し」や「キャリアの再設計」を考える際の有力な選択肢となるだろう。

情報学と法学を統合し、
社会のグランドデザインを
主導する人材の養成を目指す

国際情報学部と研究科(大学院)

 「Information Technology and Law」の頭文字「iTL」を略称として使用する中央大学国際情報学部は、情報技術と法制度を融合させて学ぶ日本初の学部として、2019年4月に市ヶ谷田町キャンパスで開設された。その4年後の2023年に国際情報研究科は情報及び情報に関する法律・規範に関する理論とサイバーフィジカル社会における諸現象に精通し、複雑さを極める現代社会に内在する諸問題に対する新しい解決アプローチを情報学と法学の知識をもとに想像できる人材を輩出するために創設された。
 様々な業種で課題認識を持つ社会人に学びの場を提供するために夜間や土曜に授業を開講し、在学生の半数が社会で活躍するビジネスマンである。

国際情報研究科入試情報
2026年度 第3期入試

出願期間
2026年1月6日(火)~ 1月9日(金)
入学試験日
2026年1月31日(土)
社会人入試は筆答試験(小論文)と口述試験で受験できる。
詳しくはこちら

11月にオンラインガイダンスを開催
①11月15日(土)13時~
在学生によるガイダンス
②11月19日(水)18時40分~
本研究科教員によるパネルディスカッション
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