倫敦白門会 第4回カナル・ハイク運河遊歩リポート

   倫敦白門会  

 令和6(2024)年8月25日(日)、まずAlperton駅前にてワタクシが集合写真を撮影。これから皆さんで散歩しようじゃありませんかという極めて気楽なこの企画。何事も起こらず全てが平穏無事であるはずでした。ところがその場でいきなり、浜哲郎さんがしゃがみこんでしまいます。

なるほど、この鋭い撮影角度。

■新会員とともに運河遊歩
 倫敦白門会の新会員、澁井陽紀さん、夏川優花さん。新設された国際経営学部 国際経営学科の輩出した2期生。最近、学部名・学科名に国際って付くことが多い気がしませんか。新会員の澁井さんと夏川さんをいただいたメールから紹介させていただきます。
 澁井さんは2022年に休学、カナダにてワーキングホリデー。現在4年生で、卒業後ロンドンに戻り、Entrepreneurship(起業家精神論)のMScの進学に向けて準備中。柔道初段。
 夏川さんは今年の3月に学部を卒業し、9月からUCLのThe Bartlett Development Planning Unit MSc Social Development Practiceに進学予定。
 お2人は既に国際的な舞台にて快進撃中。通産大臣賞を受賞した浜さん、陶磁器、瀬戸物、インテリア等のビジネスを幅広く展開なさっている清水さん、今回はご家族の事情で参加を見送られた高城さん、筆を持たせれば書道の師匠、竹刀を持たせれば剣道五段で知られる由希子さん、こういった大御所の方々の体験談を伺って頂ければと思います。

 見事な秋晴れの下、我々は順調に運河遊歩を進めます。途中、見知らぬ釣り人と立ち話になります。ここで釣りをするには、地元のCouncilに年間35ポンドを支払って免許を取得するそうです。「たかが魚釣りにそんな……」などと言うなかれ。英国では50歳以下の男性の死因第1位は自殺とされ、全国民の7人に1人が抗鬱剤を処方されている今日、魚釣りは鬱病その他の精神疾患の予防・治療に有効とか。この方は大丈夫そうですけど。

■突然のアクシデント発生
  そんな中、事件は起こります。悠然と流れる運河沿いには数々のボートが停泊していますが、その一隻が運河の横幅を完全に遮断してしまい、他のボートの往来を不可能にしてしまっていたのです。このような光景は時折見掛けられますが、今回は様子が違います。まずボートの所有者が不在、しかもそのボートは他のボートに比べ縦幅が相当長く、その先端が対岸沿いに食い込んでいます。すると、そこへもう一隻別のボートが現れます。何とも奇妙な色と形をしたこのボート、まるで潜水艇のようです。厄介な状況に関わりたくないのでしょう、一旦は旋回を試みますが、上手く回り切れません。そこでこの潜水艇の艦長さん、自らロープを手繰り寄せ、巨大なボートを手前に引き寄せます。そのロープを我々に託し、別のロープで遊歩道沿いにボートを固定します。

最終的には事なきを得られましたが、中々ドラマチックな展開に接し、我々の運河遊歩は更に盛り上がります。参加者の皆さんにはもうお馴染み、カナル・ハイク・ブリッジにて、記念撮影の準備に取り掛かろうとしている我々の目の前を、先程の潜水艇が悠然と航行を続けます。

 昼食休憩に入ると、理枝さんからの差し入れに舌鼓を打ちながら、この会合もいよいよクライマックスに入ります。すると今度は浜さんが自腹を切って、参加者全員分のビールを運んできて下さるではありませんか!大先輩にこういうことをさせておいて、企画担当のワタクシは恐れ入るばかりであります。

■グローバル人材の育成支援
 その浜さんからは迫りつつある米国大統領選に関し、政策や争点以前にまず候補者の人格、それを受け入れるか否かについての米国民の判断についての見解を伺いました。前述した澁井さんと夏川さんから更に詳しくこれまでのこと、これからのこと、色々伺いました。
 夏川さんは2021年に交換留学でアメリカはミシシッピ州に滞在、当地での経験からして、米国では州民間にて対抗意識を抱いているのだそうです。銃規制、人工妊娠中絶、死刑制度等々、州ごとに随分色合いの異なる国ですから、United Countries of Americaの方が分かり易いのではないかと思っていましたが、米国全土ではObama Careは存続しているとか。英国NHSはfrom cradle to graveで何とか続いていますが、Obama Careは from Obama to Trumpで終わってしまうのでしょうか?浜さんに叱られないよう、こういった争点こそしっかり議論してはどうでしょう。と言ったところで、銃弾が耳を掠った程度では馬耳東風なのでしょうか?
 夏川さんも澁井さんも本学に於ける”グローバルFLP” Global Faculty Linkage Programmeと呼ばれる学部横断型のプログラムで渡英。(ここは学部横断型よりも学部連携型と訳した方がスッキリしませんか?)どのような分野でも、日本国内のみならず、国際的な舞台で活躍できる人材の育成に、全学挙げて本腰を入れている様子が、お2人の話から見えてきました。
 70-80年代なんて海外に行くとか外国語を喋るだけで、気取り屋として煙たがられたものでした。90年代初頭でさえ、風当たりは相当きつかったのですよ。時代は変わりましたね。

 こういう次世代の方々の将来は明るく、眩しいくらいであります。その行程は運河沿いに舗装された遊歩道のように平坦ではなく、行く手を真っ向から遮ろうとする困難に直面する時もあることでしょう。旋回して切り抜けられるかもしれませんが、運命を自らの手で切り開いていかざるを得ない局面もあるでしょう。そんな時にこそ、アノ奇妙な潜水艇を思い出して頂きたいのです。今回の我々のように倫敦白門会からも支援を惜しむものではありません。そして力強く前進を続ければ通産大臣賞だって見えてくるでしょう。受賞の暁には、理枝さんが差し入れを持参して祝賀会に駆け付けてくれます。So Restaurantを貸し切りにして、乾杯の音頭を取って頂けるよう、ワタクシの方からも浜さんにお願いしておきます。

2年目、既に第4回目を数えるカナル・ハイク。次回は来年の春先を予定しておりますが、実は今回参加出来なかった方々から、この10月中旬にカナル・ハイク・ミニという形で何とかならないものかと打診されております。詳細は未定ですが、いずれにせよまたアノ遊歩道にてお会いしましょう。

それまでお元気で。

岡田 隆

※本文中の浜哲郎氏は、海外に日本食の普及に努めた功績により、令和6年秋の叙勲で旭日双光賞を在日日本大使館を通じて授与された。

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