東京港区支部
第20回定時総会・国際交流講演会・懇親会を開催
▽2023年2月3日
▽東京プリンスホテル本館2F「サンフラワーホール」

~第20回 定時総会/国際交流講演会/懇親会~
於:東京プリンスホテル本館2F「サンフラワーホール」
令和5(2023)年2月3日(金) 総勢137名(学員95名)
先ず、根岸清一支部長が開会挨拶、そのまま議長に選任され、議事に入った。
第一号~第四号議案は全会一致で承認され、第五号議案の役員人事一部改選 副幹事長増強、第六号議案其の他①物故者報告②就任-財務部長・広報部長は、副支部長選任にされ両部長はそのまま兼任となった③新入会員の紹介は竹内事務局長の推薦者4名紹介し議事終了。そのまま閉会の挨拶を竹内事務局長が行った。
続いて国際交流講演会に入った。此の講演会は当支部が最も力を入れている企画で当港区内に世界各国の「大使館」が多数点在する地域的特徴を活用して、中央大学ブランド(教育方針)の一環である「グローバル化推進(国際性豊かな人材の育成)」に因み、毎年当支部の定時総会の後、価値ある「聞き物」として、駐日大使館員の講師をお招きし国際交流講演会を実施しています。
第1回は「エストニア」、第2回は「フランス」、第3回は「オーストリア」、第4回は「カナダ」。今回は第5回目で、今話題の「ウクライナ」であります。
講演会は竹内敬雄事務局長の司会でスタート。駐日ウクライナ特命全権大使Dr.セルギー・コルスンスキー氏で、通訳は同大使館二等書記官ユリヤ・ザモルスカさんであります。演題は「One year of war. What we can do to stop aggression」でプロジェクターよりスクリーンに投映されたリアルな映像を鑑賞しながら講演は進んだ。
―講演の内容は次の通り―
ロシアがウクライナへ軍事侵略を開始して本年2月24日を以って1年となる。
【ロシアの指針】
軍事大国ロシアは国力増強のため領土拡大を最優先の国策として「南下政策」を打ち出し、常に近隣国への侵略の機を窺っているのであります。
【ウクライナへの侵略の動機】
ロシアの思惑は両国共、旧ソ連邦の構成国であった宣から、ウクライナは隣国ベラルーシのように、当然、ロシアの傘下国に入ってくるものと見込んでいたところ、意外にもロシア圏とは全く思想・主義が相違する欧州の対立グループ国で構成するNATO(北大西洋条約機構)に加盟申請してしまったのであります。これにロシアは猛反対したが、ウクライナは撤回する意向はなく逆に反発を表明したために、ロシアの独裁者プーチン大統領は激怒してロシア帝国の威信にかけて一方的に戦闘攻撃を仕掛けてきたのであります。
【ロシアの本音と戦略・拠点】
ロシア南下侵略の使命達成には、あらゆる好条件が備わったウクライナが必要不可欠な国土なのであります。特に、ウクライナ南部の黒海に面した沿岸の「クリミア」は冬季でも不凍港で東西交易の重要な海運ルートであり、軍事拠点にも最適で、また、欧州への穀倉地帯で食材産物収穫量の豊富なところでもあるため、いかなる手段を用いても手中に納めたい地域なのであります。従って、ロシアはすでに2014年この「クリミア」を狡猾な手段で併合してしまっていたのであります。この時のロシアのクリミアへの戦略は武力侵攻の傍ら、サイバー攻撃で通信網をパニックに陥れ、SNSを駆使して偽情報を流して翻弄させ、無抵抗のうちに容易にクリミアを手中に納めた。その上、クリミア住民に偽りの国民投票を強行して併合を正当化させてしまったのであります。現在黒海沿岸にはロシア軍の黒海艦隊が配備され、重要な軍事拠点となっているのであります。
【ロシアのウクライナ侵撃の実態と併合の見通し】
ロシア軍はウクライナの北部ベラルーシとの国境とロシアとの東部国境及びロシアがすでに実行支配している南部クリミアの3方から侵攻を開始した。ロシア軍は当初「クリミア」をいとも簡単に併合した実例があることから、先ず露国軍部隊が主都キーウに迫れば、おそらく俳優出身のウクライナのウオロディミル・ゼレンスキー大統領は恐れをなして国外へ逃亡するだろう、そうなれば「10日間」でウクライナ全土を掌握することは実現可能であり、短期間で併合できるとの見通しを立てていた。
【ロシアへの経済制裁断行】
ロシアのウクライナへの全面侵攻は国連憲章を侵害しており、謂れなき侵略は世界平和の国際秩序を根幹から揺るがすものである。しかし、国連の常任理事国は当事国のロシアである。また、更にロシアの友好国中国も常任理事国であるから国連は全く当てにならない機関になってしまったのであります。よって、米国を中心にG7(日本を含む先進7カ国)主脳が結束してロシアの暴挙に対して非難と撤回を要請した上で経済制裁を断行するに至った。しかし、ロシアは全く意に介さず、攻撃の手を緩めなかったので次第に経済制裁のレベルを上げていったのであります。
【ウクライナの「認知戦」への準備】
ウクライナは2014年ロシアの戦略の常套手段「認知戦略」(偽情報や世論操作による虚偽データを駆使して相手国の人民に信じ込ませて、戦局の展開を有利にしてしまう騙し取り戦術)によって、南部「クリミア」の併合を許してしまった教訓から此の「認知戦」に備えて専門家と専門の部門を設け徹底対応を実行した。また、ゼレンスキーが大統領に就任してから、アメリカとの連絡を密にするようになってウクライナの軍事力のレベルアップ(兵器の整備と向上を図ると同時に隊員の強化訓練と武器使用技術の上達)を図っていた。更にアメリカ中央情報局とも密接にコンタクトを取りロシア軍の動きや戦略等の情報を正確にキャッチしていた。
【2022年2~4月 ロシア軍の北部攻撃】
ロシア軍はウクライナ全土の併合の最も近道は北部の首都キーウを攻略することだとして、北部を重点的に侵撃した。北部チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所やアントノフ国際空港などを制圧したが、予想外のウクライナ軍の激しい反撃にあいロシア軍は前進を阻まれ首都キーウの手前で撤退に追い込まれ北部はウクライナ軍に奪還されてしまった。ロシア軍がキーウにあと一歩という時にロシア戦略の常套手段である「認知戦」を仕掛けてきた。ロシア軍はキーウ近郊に多数のドローン(無人機)を飛来させて兵士住民のスマホに次々メッセージを受信させた。『大統領は国外に逃亡した。国家予算を持ち逃げした。武器を捨てて家に帰れ』などとロシア軍はドローンを送信機に使って「偽情報」をばらまいたのである。しかし、この「認知戦」を予測して準備していたウクライナ軍は直ちに対応した。政権幹部5人そろって自撮りした動画をネットに投稿して「首相も大統領もここにいる我々は独立と国を守る」と訴えて国民の士気を高め、ことなきを得たのであります。
【ロシア軍の目に余る戦争犯罪の数々】
ロシア軍はウクライナ各地に設置された原子力発電所などのインフラ施設・建物や公共の民間施設・住宅・病院等を容赦なく撃破した。その上「ブチヤ」などでは民間人への不法拘束・暴行・虐殺・拷問・若い女性に対する性的暴行等、更に大勢の子供をロシアへ連れ去り大半がウクライナに戻っていない状況のままで、非道な戦争犯罪行為をくり返しておりロシア軍の残虐な仕打ちが多数確認されている。
【2022年5~7月 東部攻防】
ロシア軍はウクライナの北部を一旦制圧したものの、激しいウクライナ軍の反撃をうけて撤退し、ウクライナの東南部の侵略が有利に展開している方に転換し、制圧に集中した。そして、重火器を投入して、都市の破壊戦術を強行した。
【2022年7~8月 東部制圧】
ロシア軍はインフラを破壊しながら、ドネツク州/マリウポリ、ルハンスク州/セベロドネツクの全域を制圧した。
【2022年8月末~反転攻勢】
ウクライナ軍は西側諸国から軍事支援を受けた。特に米国より有力な軍事支援を受け、最新式ロケット砲等、速効性の高い兵器各種を供与され猛反撃に転じた。
【2022年11月までに】
ウクライナ軍は東南部ハルキウ州/イジューム、ドネツク州/リマン、ヘルソン州/ヘルソンを奪還した。ロシア軍はドニプロ(ドニエプル)川西岸より撤退。
【2022年11月~】
ロシア軍はウクライナ全土のインフラ施設を狙った大規模なミサイル攻撃開始。
【秋以降~】
バフムトで激戦が続き戦線は一進一退の互角の戦いで、こう着状態が続いている。
【2023年2月 戦禍と今後の見通し及び経済制裁の状況】
現在、ウクライナ軍はロシアに侵略された領土の54%奪還した。しかし、ウクライナの死傷者は10万人以上となった。また、ロシア軍の死傷者は20万人以上とのことである。英国の軍事アナリストの見解は今後、戦いは長期化する見通しであるとしている。ロシアへの西側諸国の経済制裁はロシア側についている経済大国の中国がロシアをバックアップしているのと、制裁に加わらない第三国の途上国、新興国であるグローバルサウス(インド、インドネシア、ブラジル、トルコら)がロシアより原油・天然ガス・飼料・肥料等を安価に輸入しているため、あまり効果はなくなってしまっているのであります。
【ロシアの主張と意向】
この戦争について、正当に事理を糺すなら「ロシアから一方的に仕掛けてきた謂れなき侵略であるからロシアがウクライナから全面撤退すべきである」しかし、ロシアのプーチン大統領は「歴史」を持ち出して、240年前(ロシアのエカテリーナ女帝時代)は黒海周辺の国土すべてロシアの領土であった。旧ソ連邦時代も同様である。よって、これは自国の領土を元に戻しているだけで決して侵略ではない「我々はロシアを守るために戦っているんだ」等と自国の祖国防衛の日に「年次教書演説」を行い理由を故事付けて正当化させてしまっている等、最早、プーチン大統領は「狂人」だと断言している評論家も少なくないようであります。 しかも、ロシアは核兵器保有(核弾頭数4,477発)でアメリカの核兵器保有(核弾頭数3.708発)を抜いて世界第1位の軍事大国であると同時に、最近、特にウクライナに対し「核兵器」使用をほのめかし威嚇していることから、どこの国も「第三次世界大戦」に発展しないようにロシアを極度に追い込まずセーブしているため、このロシアの横暴にストップをかけられないのが現状なのであります。
【講演会の結び~講師Dr.セルギー・コルンスキー氏のことば】
以上で、戦争の実状が御理解いただけたと存じます。
結局、現在、ロシアの被害は侵攻してきた軍隊だけであって、ロシアの領土自体は何の被害もうけていない。それに引き換え攻撃されたウクライナの領土は各都市のみならず民間社会まで著しい破戒戦禍を蒙っております。其の上、欧州人民への食を担う穀倉地帯の小麦の生産と輸出までロシア軍の強圧阻止に合い厳しい経済被害にまで陥っております。どうか、皆様、日本政府と国民が一体となってウクライナ国民に御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げます。ウクライナ国民はそれを心から願っています。本日は有難うございました。
【講演を聴講して~今後、日本が担う責任と実行を思う】
(1)現在、日本は「G7」サミットの議長国でありますので、NATOや西側諸国と連係強化を以って、政府と国民が一体となり、ウクライナへ協力と支援を行ってゆく。具体的には「経済支援」と「戦禍難民受入支援」更に「軍事支援」については憲法上、殺傷能力兵器等の供与支援は不可のため、防衛装具(防弾チョッキ、ヘルメット、防弾防火パネル等)を供与支援する。
(2)その傍ら、国際法の支配に基づく、自由と民主主義を守り抜く国際秩序の回復と安全保障の構築確認、戦争犯罪(人権侵害等)の徹底追及及び責任者の処罰を訴える。
(3)グローバルサウス諸国への世界秩序の正当性、安全保障、G7及びNATOへの支持・参加協力等の説得、経済援助及び必要品目の支援等を行う条件呈示によりロシアとの交流を避けさせて、取り込みを行う。
(4)最後に、日本はロシアに不法占拠されている「北方領土」を77年経っても返還されていない事を肝に銘じ、また、過去に大勢の日本人がシベリアへ抑留され強制労働で過労と栄養失調で虐待と惨殺に及んだロシア人の酷い仕打ちを風化忘却させてはならない。今後の日本にとって最も警戒してゆかねばならぬ国はロシア・中国・北朝鮮である。
【講演会終了】
締めくくりは司会者竹内事務局長の閉会の挨拶で終了した。
その直後、川窪臣知広報部長の指示により、全員で集合記念写真撮影を行った。そのまま懇親会に入り司会進行は前半福田守弘副支部長、後半は竹内事務局長が行った。進行は次の次第通り
第二十回 中央大学学員会東京港区支部(港白門会)
-懇親会次第-
1.開宴(開宴のことば) 東京港区支部(港白門会)副支部長 福田守弘
2.支部代表挨拶 東京港区支部(港白門会)副支部長 川村五作
3.来賓御挨拶 中央大学 学長 河合久先生
4.本学近況報告 中央大学 副学長 佐藤信行先生
5.来賓各位御紹介(各支部役員の方々) 書記長 山下一明
6.乾杯 中央大学学員会副会長 榎秀郎
7.祝電披露 学校法人中央大学理事長 大村雅彦先生からの祝電披露 福田守弘
8.歓談(司会者交代) 東京港区支部(港白門会)事務局長 竹内敬雄
御来賓~ショートスピーチ
・文京区へ法学部の都心回帰が叶った件について
駒沢大学名誉教授/武蔵野学院大学名誉学長 大久保治男先生
・音研スウィングクリスタルオーケストラ 新旧監督の交代挨拶
47年間監督 重松述史
2/25八十周年記念リサイタルについて
新監督 北村雄大
・NPO法人ハンズオントキヨー(ウクライナ募金について)
ユリア・チョポイダロ(ウクライナ人)/マキ・ユコヴィンチ(日本人スタッフ)
・第99回箱根駅伝準優勝について
港白門会青年部副部長 櫻井俊宏
第85回箱根駅伝元主将 関口康平
・武者小路実篤についてのスピーチ
弁護士法人TLEO虎ノ門法律経済事務所 所長 千賀修一弁護士
・中央大学 元学長、日本私立学校振興共済事業団理事長 福原紀彦先生
アトラクション他
・室内楽 ヴァイオリン 浅沼杏花/ピアノ 石川陽亮/ヴォーカリスト 橘えみ
9.校歌 全員
(進行)リーダー エール 港白門会青年部副部長 櫻井俊宏
10.中締め 港白門会顧問(元)学員会副会長 堀合辰夫
11.惜別の歌 全員
12.閉宴(閉宴のことば) 港白門会幹事長 土屋準
13.お見送り(出口集合) 執行役員各位
以上全日程終了 散会
以上
(広報部長 川窪 臣知)