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母校・中央大学を想う 学員からの提言

中央大学が今後とも私学の雄として社会に存在感を示していくためにはどうあるべきか
本欄では、各界で活躍する学員からの提言を掲載していく。(連載)

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すべての「中央」たる自信と誇りを持て
学員が結集し、学部新設など新しい発想で変革を進めよう

2015年(平成27年)3月25日
大久保治男(昭33法)

画像 「官学の中の私学・一橋大学、私学の中の官学・中央大学」という対比があった。中大の伝統や校風を表しているもので、国家資格者や公務員を多数輩出する中大は、良く言えば信用・信頼があり、悪く言えば堅過ぎてなかなか変革できない。それでも、その社会的な評価の中で、法曹界、政官界、実業界などに多数の人材を輩出してきた。この伝統はこれからも死守しなければならない。
 その上で、時代環境の変化に対応した変革を行っていかねばならない。現在、国内には700以上もの大学があり、少子化が叫ばれる中、それらの大学は生き残りのためにさまざまな取り組みを行っているのである。何もしなければ、淘汰されるのは確実だ。
 私はこれまで7つの大学の新設に関わってきた。その一つ、4年間初代学長を務めた苫小牧駒澤大学は、北海道の広大な大地に行政とともに新しいタイプの公私協力大学を設立した。九州の立命館アジア太平洋大学や秋田の国際教養大学など、地方に新しく設立された大学の取り組みが注目されているが、苫小牧駒澤大もその一つかもしれない。
 また現在、地域だけでなく全国区の大学となろうとしている、私も創立時に参画した山梨学院大学は、駅伝をはじめスポーツによって国際レベルのブランドイメージの向上に成功したことが有名となった。
 中大の文系学部が都心から離れた八王子に立地していることを、マイナス点として挙げる人は多い。しかし地方でも大きな注目を集めている大学があるように、私は八王子のキャンパスを生かした改革を提唱したい。自然に恵まれた広い校地は青年の人間形成の環境として最良であり、スポーツの強化にも最適ではないか。都心から遠いからだめだという発想からは何も生まれない。郊外型大学だからこそできること、地域社会との連携などをもっともっと追求すべきだ。
 もちろん、同時に都心展開も必要である。それは、都心に戻るということではなく、都心でなければならないもの、メリットがあるものを新たに都心に置くということだ。専門職大学院や社会人を対象とした講座、就活や他大学交流は都会が便利である。八王子を拠点としつつ都心にサテライトを持ち、後楽園キャンパスの総合利用・インターネット授業など、新しい発想やしくみを取り入れれば、施設への大きな投資を行わなくとも“都心の大 学”は十分可能である。
 また、現代社会が求める新学部の設立も急務である。他大学においては、旧来の学問領域にとらわれない横断的な学部が多数新設されて、社会の評価を得るとともに受験生を獲得している。中大はこの面では完全に後れを取っている。医療福祉、人間科学、生涯教育、スポーツ、国際グローバルなど、中大のネットワークを活用すれば、実現可能な学部はいくらでもあるはずだ。
 都心展開や学部新設には、当然、さまざまな課題があるだろう。
その一つである、人の問題を解決するためには、学員を大いに活用すべきではないか。人件費を抑制したいならば、教員には学員を動員すればよい。
 全国の多くの大学で活躍している先生方で、非常勤でも役立ちたいという学員も多い。
 海外大学との交流や中大の国際学生寮のさらなる充実でグローバル化を発展させよう。ある年の『タイムズ・ハイアー・エデュケー ション』によるグローバル企業CEO輩出数世界100大学ランキングでは、東大2位、慶大9位、京大18位、早大20位、中大27位と、日本の大学では5位の評価をされている。
 変革のために学員の英知を結集するためにも、学員はまず母校のすばらしさに自信と誇りを持つべきだ。
 東大や京大の学閥、早稲田、慶応の同窓会の結束に比べ、中大のそれは弱い。陰陽五行の思想ではすべての中心、たとえば東西南北、春夏秋冬などの絶対のものには「中央」がある。学員はそのぐらいの気持ちを持ち、その上でそれにふさわしい大学づくりに協力していくべきだ。
 大学の設立に関わり、いくつかの大学で学長や理事を務めてきた経験からすれば、教学と理事会に緊張関係は必要だが、無用な対立はすべきではない。大学発展という目的のためには両者は一致して取り組むべきだ。中大もそうあってほしい。
 私の祖先は代々、井伊家に家老や側役として仕えた。イギリスの詩人・マーチンは「Little people see Biwako,Big people see Japan,Great people see the world.」と言い、幕末の偉大な政治家であった井伊直弼を「Great people」と評した。これに倣って 言うならば、心小さき大学はセクショナリズムでコチコチで発展がない。心大きな大学は日本全体を見渡して改善する。そして、心偉大な大学は、世界を見、将来を見て、現代社会を実践的に分析し、発展していく。
 わが母校、中央大学の将来にわたる発展を願ってやまない。

大久保治男(おおくぼ・はるお)氏

武蔵野学院大学名誉学長、駒澤大学名誉教授。東京文京区支部名誉会長、学外大学教授白門会会長。国特別史跡・井伊直弼学問所『埋木舎』(彦根城内)当主。平成26年秋の叙勲で瑞宝中綬章を受章。

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