学員の本 #100日チャレンジ 毎日連続100本アプリを作ったら人生が変わった 著者/大塚あみ (令6経)

 本書の帯には「怠け者の大学4年生がChatGPTに出会い、ノリでプログラミングに取り組んだら、教授に褒められ、海外論文が認められ、ソフトウェアエンジニアとして就職できた」とある。中央大学経済学部4年生の授業でChatGPTを知り、まず宿題をやらせるために使い始め、さらに授業中に内職でゲームアプリを制作。その経験を令和5(2023)年6月の電子情報通信学会・ネットワークソフトウェア研究会で発表したところ高い評価を受け、翌年2月のスペインでの国際学会Eurocast2024への招待を受ける。その時期に決めた「100日間毎日1本のアプリを作成しXに投稿する」を自身に課したという著者の体験を綴った本書は、「Z世代の著者によるAI駆動型プログラミング学習探究記」と話題となりベストセラーとなっている。

 AIがここまで身近になっているということに驚くとともに、多摩キャンパスを知る学員には、懐かしい図書館や7号館の今の様子を知ることもできる。

発行/日経BP

判型等/ A5判 224ページ

定価/ 1,980円税込

著者から本紙への寄稿

文章を書くのが苦手だった

著者近影(撮影:稲垣純也)

 私は文章を書くのが苦手だった。

 それは作文やレポートの課題が出るたびに強烈に感じていた。感想文を書くと先生に「こんな考え方はおかしい」と指摘される――そんなことが何度もあった。

 それ以来、私は文章を書くことに、恐れを抱くようになってしまった。

 しかし、そんな私にも転機が訪れる。

 ある日私は、100日連続で毎日1本アプリを作る、「#100日チャレンジ」を行った。この挑戦の成果が話題になり、本の出版が決まった。

 執筆作業は簡単ではなかった。最初の原稿は見るも無惨だった。毎週編集者に会議室に呼ばれては厳しい指摘を受け、その正論を飲み込みながら自分の無力さに打ちひしがれた。

 会議の後はいつも食事に誘ってくれた。夕飯の席ではシラーズワインを飲みながら談笑し、「文章はまだまだだけど、感情表現や一つ一つの出来事はとても面白いですね」と励ましてくれた。

 3ヶ月もすると、私がなぜ文章を書くのを嫌っていたのかが見えてきた。私は書くこと自体が苦手なのではなく、自由に表現することで、他人に批判されるのが怖かったのだ。

 それから文章を書くのがずっと楽になり、編集者からも「上手くなりましたね」と、その成長を褒めてもらえた。

 あの時苦しみながらも書いた本は既に5刷され、新人としては異例のベストセラーとなった。かつて文章が苦手だった私が、本を書くという経験を通じて、自分自身の新たな可能性を発見した瞬間だった。

 ふと、大学を卒業したころのことを思い出す。

 当時は誰もが夢や希望に溢れ、若さを武器に明るい将来を思い描いていた。

 あれから1年。私の周りでも、日常の繰り返しの中で、いつしか情熱や好奇心を

失い、一生を無難に生きることを受け入れてしまう人が増えた。

 人生に停滞感を覚えることもあるだろう。しかし、「自分はこういう人間だ」という固定概念を取り払い、新しい挑戦に一歩踏み出してみてほしい。

 人生という物語は、情熱を動力に進展するのだから。 (大塚 あみ)

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