中央大学のスポーツの今を報じる「中大スポーツ」（中スポ）の記者5名が3月10日（月）、駿河台キャンパス19階「白門サロン」で、ろう実況者・早瀨憲太郎氏の取材を行った。この取材は、学生の自主活動を学員がサポートしたもの。学員による現役学生支援の一例として紹介する。
学生が手話の実況放送に関心
学生記者の取材を受けた早瀨氏はろう者で、ろう者向けの学習塾を設立運営するほか、ろう者向けあるいはろう者をテーマとした映像・映画の製作を行っている。自転車競技のデフアスリートでもあり、デフリンピックの日本代表経験もあるなどの著名人。デフ（Deaf）とは、英語で「耳がきこえない」という意味である。去る2 月2 日に開催された第77 回香川丸亀国際ハーフマラソン／第28 回日本学生ハーフマラソン選手権大会（以下、丸亀マラソン）では、岡山放送で「手話実況」を行っている。
手話実況は、音声実況の手話通訳とは異なり、実況の手話通訳とレースの映像を見ながら、ろう者自身が集めた情報を交えて、自ら手話で実況を行うもの。マラソンの魅力が視覚的に伝わるように選手やコースの情報などを豊かな表情とともに伝えている。
今回の丸亀マラソンには大学・実業団のトップクラスの選手が多く出場。中大からは１月に開催された箱根駅伝に出場した4 名を含む計9 名の選手が出場し、3 名が従来の中大記録を更新する活躍を見せた。
「白門人」の支援で取材実現
大会を取材し、当日の手話実況に強い関心を持った大会を取材した中スポの学生記者らは、帰京後、岡山放送に早瀨氏の取材を申し入れた。今回の手話実況企画者の一人で、同放送局で長年手話放送番組を手掛けているのが、学員の篠田吉央アナウンサー（平17 経）で、連絡を受け快諾。篠田氏は昨年4月発行の本紙第526 号「白門人」に登場し、手話放送をはじめとした「ゼロ・バリア」について語っている。
後輩が手話に関心を寄せたということで、篠田氏は多忙な早瀨氏への取材依頼とスケジュール調整、手話通訳の手配などの一切を引き受け、本紙にもその旨を報告した。こうした経緯もあって取材が実現し、取材場所として駿河台キャンパス19 階「白門サロン」が使われたわけである。
学生が学員とのつながりを活用
1時間余の取材は、学生記者からの、生い立ちや聴覚障がい者が抱えるスポーツの難しさ、バリアフリー・字幕の問題等々さまざまな質問を手話通訳を介して行い、早瀨氏が手話と表情で答えた。また「中スポ」らしく、アスリートでもある早瀨氏に、「中大アスリートをどう見るか」という問いも行った。
充実した内容で取材終了。取材後は学生記者から篠田氏をはじめ取材をサポートしたOB に感謝が述べられるとともに、今後もさまざまな機会で全国の卒業生とのつながりを活用したいとの希望があった。
記事は「手話実況の『新しい価値』」のテーマでまとめられ、3 月20 日から『中スポWeb』で公開されている。
デフアスリートのオリンピック
「デフリンピック東京2025」今年11月に開催
デフリンピックは聴覚障害者のための国際スポーツ大会で、オリンピックやパラリンピックと同様にIOC が公認している。大正13（1924）年に始まり、4 年に1 度開催される。ろう者スポーツ選手＝デフアスリートが世界中から集まり、手話や視覚的サインを使って競技を行う。本年その100 周年記念大会が日本で初めて開催され、東京体育館や有明アリーナなどを会場に21 競技が行われる。
大会は11 月15 日から26 日まで。
デフリンピックはスポーツを通じて聴覚障害への理解を深め、共生社会の実現を目指す機会でもある。
デフリンピック東京2025公式ホームページ https://www.deaflympics2025.com
体育部会の活躍を報道
「中大スポーツ」新聞部
中スポは中央大学学友会体育連盟に所属する「中大スポーツ」新聞部が発行している。同部の発足は平成5（1993）年。学内のスポーツ系約50 部会の活動を
取材し、写真撮影やインタビューを行い記事執筆を経て、スポーツニッポンなどを印刷している東日印刷で新聞のレイアウトを行います。中スポ本紙（新聞）は特集号や号外含め年７回発行。
新聞以外にもX への試合結果の速報投稿、Web ページへの記事投稿、Instagramへの撮影した写真の公開など、様々な媒体で中央大学のスポーツを発信している。
「中大スポWeb」https://chudaisports.com
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